高たんぱくより総合栄養食表示、猫のタウリン不足を防ぐ基準
「高たんぱく」「グレインフリー」という表示だけでは、猫に必要な栄養がすべて満たされているとは限りません。猫が体内で作れないタウリンやビタミンAの働きと、日本のペットフード公正取引協議会が定める総合栄養食表示の基準をわかりやすく詳しく解説します。

キャットフードのパッケージに大きく書かれた「高たんぱく」「肉類主原料」といった表示を見ると、それだけで猫に必要な栄養がすべて満たされていると思ってしまいがちです。しかしたんぱく質の含有量が高いことと、猫に必要な栄養素がすべて揃っていることは別の話です。
誤解:「高たんぱく・肉食」表示があれば栄養は足りている
原材料表示の最初に肉が来て、穀物が入っておらず、「高たんぱく」と書かれていれば、肉食動物である猫に当然合っていると考えやすいものです。しかし、こうした表示は原材料やたんぱく質の比率についての情報にすぎず、猫に必要な栄養素がすべて満たされている保証ではありません。動物性たんぱく質の含有量が高くても、猫の体が自分で作れない特定の栄養素が欠けていれば問題になり得ます。
本当の理由:猫の体が自分で作れない栄養素がある
猫は体内でタウリンを合成できません——タウリンはほぼ動物性の組織にしか存在しないアミノ酸です。かつてタウリンが不足した市販フードが原因で、猫の拡張型心筋症(心臓が広がってうまく収縮できなくなる心不全の一種)や網膜変性(失明につながりうる視力低下)が相次いだことがあり、これ以降AAFCOなどの栄養基準でタウリンが必須項目になりました。日本でもペットフード公正取引協議会がAAFCOの栄養基準を採用し、水と総合栄養食だけで健康を維持できることを「総合栄養食」表示の条件としています。キャットフードの分析項目にはタウリンも含まれており、AAFCOの推奨値はドライフードで1,000mg/kg、ウェットフードで2,000mg/kgとされています。

猫はまた、ベータカロテンをビタミンAに変換する能力がほとんどなく、動物性の原料からビタミンAをそのまま摂取する必要があります。必須脂肪酸であるアラキドン酸を植物性原料から作る能力も限られています。さらに体格に対してたんぱく質要求量が高く、肝臓の酵素も炭水化物より安定したたんぱく質・脂質の供給に合わせて働きます——炭水化物自体が危険という意味ではなく、猫の体が炭水化物中心で回るようにはできていないという意味です。「肉食動物」という言葉はマーケティング用語ではなく、こうした具体的な栄養要求を指しています。
実際の対策:たんぱく質の数字より先に確認すること
- パッケージで「総合栄養食」表示を確認しましょう——この表示があればライフステージごとの栄養基準を満たしていることを意味し、「一般食」「間食」と表示された製品は主食として設計されていません。
- 手作り食や生食を与えている場合は、獣医栄養の専門家が監修したレシピを使い、タウリンが別途添加されているか確認しましょう——加熱した赤身肉だけでは十分な量を確保しにくいためです。
- 「肉食」「高たんぱく」の表示は悪い兆候ではありませんが、それだけで栄養が完全だという証明にはならないことを覚えておきましょう。
- 今与えているフードがこの基準を満たしているか自信がなければ、次の診察でパッケージやレシピをそのまま持参し、獣医師に確認してもらいましょう。
よくある質問
グレインフリーなら猫に良いのですか?
いいえ——穀物が入っているかどうかは、タウリン・たんぱく質・ビタミンAが足りているかとは別の基準です。穀物入りでも総合栄養食表示があれば、猫の栄養要求を満たせます。
ウェットとドライを混ぜて与えていますが大丈夫ですか?
比率そのものより、両方とも総合栄養食として表示されているかどうかのほうが重要です。
手作り食や生食への切り替えを検討している場合、または体重減少・嘔吐・被毛の変化が見られる場合は、自己判断で続けず今の食事内容を動物病院で確認するのが先です。表示を見て終わりにせず、不安な点は必ずかかりつけの獣医師に相談してください。
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